近年、VR動画や連動デバイスの普及により、Funscript(ファンスクリプト)という言葉を耳にする機会が増えてきました。
- 「動画とどうやって同期しているの?」
- 「単軸と多軸では何が違うの?」
本記事では、初めて触れる方でも理解しやすいよう、技術的な観点から“連動の仕組み”を中立的に解説します。
1. Funscriptとは?
Funscript は、時間(at) と 位置(pos) を並べた、とてもシンプルな構造を持つテキストファイルです。
たとえば以下のように記述されます:
{
"version": "1.0",
"inverted": false,
"range": 90,
"actions": [
{ "pos": 0, "at": 100 },
{ "pos": 100, "at": 500 }
]
}
- pos: デバイスの相対位置(0〜100)
- at: 動画開始からの経過時間(ミリ秒)
動画の時間軸と Funscript の時間軸が一致することで、デバイスが“完全同期”した動作を行います。
2. 動画とデバイスが同期する仕組み
動画の連動再生は、次の 3 つが揃って初めて成立します。

①再生プレイヤー
動画再生と Funscript の同期を管理し、デバイスへ指令を送る役割。
PC・スマホ・VR などさまざまな種類があります。
②Funscript(動作データ)
動作そのものを記録したデータ。
1軸につき1ファイルの構造になっているため、多軸の場合は複数ファイルになります。
③デバイス
Funscript に従って動作する連動デバイス。
単純な1軸ストロークから、複数方向に動く多軸ロボットまでさまざまです。
3. 単軸と多軸の違い
・単軸(1軸)
- 上下ストロークのみ
- Funscript の量が最も多い
- 多くの動画サイトや連動アプリが対応
- 入手しやすく初心者向け
代表例:
The Handy / Kiiroo Onyx+ / Fleshlight Launch など
・多軸(複数軸)
- ストローク + ピッチ・ロール・ツイストなど複数方向
- 人間的で立体的な動き
- メーカーが少なく、入手性は低め
- 多軸スクリプトの数はまだ少ない
最近では、スマホのジャイロを使い“単軸スクリプトに多軸補助を追加する”タイプのアプリも登場し、
単軸動画でも立体的な動きを楽しめるようになっています。
代表例:
FunOSR / SyncBot / MiraBot など
4. PC・VR・スマホでの使い方の違い
①PC+プレイヤーソフト
・メリット
- 単軸・多軸スクリプト対応
- 高度な調整が可能
- ゲーム連動など、拡張性に優れている
・デメリット
- PC が必要
- 初心者には設定が複雑
・代表ソフト
- MultiFunPlayer(MFP)
- Funscript Player
②VRヘッドセット(Quest系)
・メリット
- 没入感が最も高い
- ワイヤレス視聴
- 一部サイトはデバイスへの動作データ出力に対応
・デメリット
- 端末が必要
- 多軸デバイスの制御はPC経由になる場合が多い
・代表アプリ
HereSphere / SLRアプリ など
③スマホ単体の再生アプリ
近年増えてきたのが、スマホだけで VR動画と Funscript を再生し、デバイスを直接動かす方式です。
・メリット
- PC不要・VR不要
- スマホだけで完結
- BLE接続でワイヤレス運用
- 初心者でも扱いやすい
- メーカーによってはアプリ無料提供あり
・デメリット
- アプリごとの機能差が大きい
- ゲーム連動など高度用途はPCが有利
- 多軸対応アプリはまだ少ない
・代表アプリ
- Handy Universe
- Lovense Remote
- MiraPlay AiO(多軸)
5. Funscript の自作について
編集ツールとして最も一般的なのが OpenFunscripter(OFS) です。
- キーフレーム打ち
- ベジェ曲線でモーションを滑らかに補正
- 多軸編集にも対応
- 保存してすぐ再生可能
ただし、多軸スクリプト制作は非常に難易度が高く、
動画をそのまま多軸化するのは現実的ではありません。
Blenderなどで3Dモデルを動かし、
全軸データを同時出力する方法もありますが、
時間とスキルが必要となります。
6. 快適に連動を楽しむためのポイント
- デバイスをしっかり固定する(マウント・スタンド)
- 過度な速度・ストロークを避ける
- 動画とスクリプトの正確な同期
- 有線/無線接続の安定化
- スクリプトに乱れがある場合は「スムージング」を活用
多軸デバイスでは、動作の滑らかさが快適さに大きく影響します。
まとめ
- Funscript=時間(at)× 位置(pos) の指示書。1軸=1ファイルが基本。
- 連動は プレイヤー/Funscript/デバイス の3要素で成立。
- 単軸は素材が豊富で導入しやすい。多軸は立体的だが、対応環境やスクリプトの入手性に注意。
- 最短の始め方:
- 対応プレイヤーを用意(PC/スマホ/VR)
- Funscript を読み込み再生設定
- デバイスを接続
- 遅延補正・スムージングなどを調整
- つまずきやすい点:接続不安定/遅延設定/スクリプトの欠落や不整合/プレイヤー側の読み込み設定ミス。
- 安全・快適のコツ:確実な固定、無理な速度・ストロークを避ける、定期メンテ、スムーズ化の活用。










